●事件の概要
原告は、「被服、布製身回品、寝具類」について蝶の図形と「FRAMBOISE」の結合した登録商標を有していたが、使用していたものは図形を欠いた「FRAMBOISE」であった。被告は、原告の登録商標と類似する「FRAMBOISE」の商標登録出願をするとともに、原告の商標登録を不使用として取消審判を請求し、取消審決を受けたため、原告が東京高裁に提訴した事件。
●裁判所の判断
本件商標は、いずれも図案化された横一列に配された
蝶の図形部分と「FRAMBOISE」なる文字部分が一つのまとまりあるものとしており、本件商標の構成上の特徴を構成し、その
いずれかを欠落させた構成はもはや本件商標と同一性を有するものと認めることはできない。
従って、前記「FRAMBOISE」の文字からなる標章は、本件商標との同一性があるということはできない。
本件商標の構成により蝶の部分と「FRANBOISE」の文字部分を対比すると、図形部分は、1個であるのに文字部分は9個の文字からなり、両者は対照的な存在として認識され、図形部分の横幅(蝶の羽の横幅の最も広い部分)と文字部分全体の長さの比率は約1対4である。さらに、図形と文字という構成要素の異質性を勘案すれば、本件商標の同一性の判断に当たり図形部分の存在を無視することは許されず、前記のように図形部分と文字部分が一つのまとまった形態をなしているものと認めるのが相当である。
原告登録商標