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■FRAMBOISE事件(東京高裁 H3.5.30)
●事件の概要
 原告は、「被服、布製身回品、寝具類」について蝶の図形と「FRAMBOISE」の結合した登録商標を有していたが、使用していたものは図形を欠いた「FRAMBOISE」であった。被告は、原告の登録商標と類似する「FRAMBOISE」の商標登録出願をするとともに、原告の商標登録を不使用として取消審判を請求し、取消審決を受けたため、原告が東京高裁に提訴した事件。
●裁判所の判断
 本件商標は、いずれも図案化された横一列に配された蝶の図形部分と「FRAMBOISE」なる文字部分が一つのまとまりあるものとしており、本件商標の構成上の特徴を構成し、そのいずれかを欠落させた構成はもはや本件商標と同一性を有するものと認めることはできない。
 従って、前記「FRAMBOISE」の文字からなる標章は、本件商標との同一性があるということはできない。
 本件商標の構成により蝶の部分と「FRANBOISE」の文字部分を対比すると、図形部分は、1個であるのに文字部分は9個の文字からなり、両者は対照的な存在として認識され、図形部分の横幅(蝶の羽の横幅の最も広い部分)と文字部分全体の長さの比率は約1対4である。さらに、図形と文字という構成要素の異質性を勘案すれば、本件商標の同一性の判断に当たり図形部分の存在を無視することは許されず、前記のように図形部分と文字部分が一つのまとまった形態をなしているものと認めるのが相当である。
原告登録商標



 コメント
 商標登録の出願をしさえすれば、現実に使用されているか否かを問わず、登録されます。したがって、使用されていない登録商標の存在によって、かえって他人のネーミングやマークの選択の余地を狭くし、円滑な流通を阻害してしまいます。このような不使用のネーミングやマークの登録を取り消すための制度が不使用取消審判です。登録商標と同一のネーミングやマークを指定商品・指定サービスと同一の商品・サービスについて継続して3年以上使用していない場合には取り消されます。
 しかし、現実の取引過程では、出願時の願書に記載したネーミングやマークから少し変更して使用されることが多く、その同一性をあまりに厳しくすると、登録取消しの対象となるものが多くなり、かえって不都合が生じてしまいます。
 そこで、書体に変更を加えた同一の文字からなるネーミングなど、登録商標と社会通念上同一と認められるネーミングやマークも登録商標に含まれるとしました(法50条1項)。
 本判決は、本件登録商標は文字と図形とが1つのまとまりあるものとして構成されているので、文字部分のみを取り出してそれを商標として使用したとしてもその使用は本件登録商標の使用であるとはいえないと判決しました。
 本判決の教訓として、使用する態様に応じて出願をする態様を決定することが必要であって、文字のみ、図形のみを別々に使用することが前提の場合には、それぞれ別個に出願をしておく必要があるといえます。
   
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